テクノロジ系
ネットワーク 重点教科書
ネットワークは横文字が多く苦手意識を持ちやすい分野ですが、出題は「ネットワークの作り方(方式)」「プロトコルの役割」「インターネットの仕組み」の3つにほぼ集中しています。
1. ネットワーク方式
みなさんが会社や学校でパソコンをインターネットにつなぐとき、パソコンは1台だけで動いているわけではありません。多くの機器がケーブルや電波でつながり合って、ひとつの「ネットワーク」を作っています。まずはこのネットワークの基本的な分類と、それを作る部品の役割を見ていきましょう。
LANとWAN——「せまい範囲」と「広い範囲」
ネットワークは大きく2つに分けられます。ひとつはLAN(Local Area Network)です。これは「限られた範囲内のネットワーク」のことで、たとえば1つのオフィスの中や、1つの家の中でパソコンやスマホ、プリンターをつないでいるネットワークがこれにあたります。「ローカル」という言葉のとおり、地理的に狭い範囲に閉じているのがポイントです。
もうひとつはWAN(Wide Area Network)です。これは「地理的に離れたLANをつなぐ通信事業者サービス」のことです。たとえば東京本社のLANと大阪支社のLANを、通信会社の回線を使ってつなぐと、そこにWANができます。イメージとしては、LANが「自分の家の中の廊下」だとすると、WANは「家と家をつなぐ公共の道路」のようなものです。道路(WAN)を作って維持するのは自分ではなく通信事業者の仕事、という点も覚えておくとよいでしょう。
身近な職場のネットワークも、この「LANとWANの組み合わせ」でできています。オフィス内はLAN、オフィスとインターネットの間はWAN(実際には通信事業者の回線)という構造です。
ネットワークを作る部品たち
ネットワークは目に見えない「つながり」だけでなく、実際の部品によって作られています。代表的なものを、家の配線にたとえながら紹介します。
ネットワークインタフェースカード(NIC)はパソコンにネットワークへの「出入り口」を作る部品です。パソコンの中に内蔵されていることがほとんどで、これがないとそもそもネットワークにつながれません。ケーブルは機器と機器を物理的につなぐ線です。ハブは複数のケーブルを1か所に集めて中継する機器で、届いたデータを、つながっている全部の機器にそのまま送り返す、いわば「井戸端会議の輪」のようなイメージです。スイッチはハブと同じく複数の機器をつなぎますが、送り先の機器だけにデータを届ける、より賢い部品です。今の職場のLANではハブよりスイッチが主流です。ルーターは異なるネットワーク同士をつなぎ、データの行き先を判断して送り出す機器です。家庭用のWi-Fiルーターも、この仲間です。通信回線・伝送路は、データが実際に流れていく「道」そのものを指す言葉です。ケーブルのような有線のものも、電波のような無線のものも含みます。
これらを使って作られるのが有線LAN(ケーブルでつなぐLAN)と無線LAN(電波でつなぐLAN)です。無線LANの規格にはWiMAX(広い範囲をカバーする無線通信規格)や、Wi-Fi 4/5/6/6E(無線LANの世代を示す規格名。数字が大きいほど新しく高速)があります。また、1本の物理的なネットワークを、まるで複数の別々のネットワークであるかのように分割するVLAN(Virtual LAN)という技術もあります。たとえば同じオフィスの中でも、経理部と営業部のパソコンを「同じ配線を使いながら別のグループ」として扱いたいときにVLANが使われます。
そのほか、機器同士がボタン操作だけで簡単に無線LANの設定を完了できるWPS(Wi-Fi Protected Setup)、Wi-Fiのアクセスポイントを介さずに機器同士が直接通信するWi-Fi Direct、複数のWi-Fi機器が網の目のように連携して電波の届く範囲を広げるメッシュWi-Fiなども、身近な無線LAN関連の用語です。
ネットワークの中で自分のネットワークの外に出ていくときの「出口」となる機器をデフォルトゲートウェイと呼びます。たとえるなら、マンションの敷地から公道に出るときに必ず通る「正門」のようなものです。また、社内と外部の間に立って通信を代理してくれるプロキシというしくみもあります。プロキシは一度取得したWebページのデータを一時的に保存(キャッシュ)しておいたり、特定のサイトへのアクセスを制限したりする役割を持ちます。
機器を識別する番号としては、機器そのものに割り当てられた固有の番号であるMACアドレス、無線LANのネットワークにつけられた名前であるESSIDがあります。また、携帯電話がインターネットにつながる際の通信規格を移動体通信規格(LTEや5Gなど)と呼び、データを送る速さを表す指標を伝送速度(bps:bits per second、1秒あたりに送れるビット数)と言います。
近年重要になっているのが、ネットワークの構成をハードウェアではなくソフトウェアで柔軟に制御する考え方であるSDN(Software-Defined Networking)です。これまでは物理的な機器の配線を変えないとネットワークの構成を変えられませんでしたが、SDNではソフトウェアの設定変更だけで対応できるようになります。近距離無線で位置情報などの信号を発信するビーコンも、店舗での来店通知やスマホアプリとの連携などで使われる身近な技術です。
IoTネットワーク——「モノ」がつながる世界の通信方式
家電や工場の機械など、パソコンやスマホ以外の「モノ」がインターネットにつながる仕組みをIoT(Internet of Things)と呼びますが、IoT機器同士やIoT機器とサーバをつなぐネットワークにも専用の考え方があります。
IoT機器の多くは電池で動き、遠く離れた場所にも設置されるため、「省電力で長距離通信ができる」ことが重要です。これを実現する無線通信規格の総称がLPWA(Low Power Wide Area)です。たとえば農地に置かれたセンサーが、電池交換なしで何年も、遠く離れた基地局までデータを送り続けられるのはLPWAのおかげです。
一方、データが発生する場所(センサーなど)のすぐ近くで処理を済ませてしまう考え方をエッジコンピューティングと呼びます。すべてのデータを遠くのサーバまで送って処理すると時間がかかりますが、その場で処理すれば素早く反応できます。工場の機械が異常を検知した瞬間に停止するような場面で活躍します。
近距離での省電力な通信規格としてはBLE(Bluetooth Low Energy)があり、スマートウォッチや体温計などの小型機器でよく使われています。そして、IoT機器同士をつなぐ狭い範囲のネットワークをIoTエリアネットワークと呼びます。
これらの通信方式は、通信距離(近距離か遠距離か)、速度(高速か低速か)、消費電力(どれくらい電池を消耗するか)という3つの観点で使い分けられます。たとえば「遠くまで届けたいが速度は遅くてよい」ならLPWA、「近くの機器と省電力でつなぎたい」ならBLE、というように用途に応じて選ばれるのです。
(参考:PoEやゲストポート、マルチホップ/アドホックネットワークといった用語は現場でも使われますが、公式シラバスの用語例には直接の記載がないため、発展的な補足として扱います。)

2. 通信プロトコル
ネットワークで機器同士がつながっていても、それだけでは会話はできません。日本語しか話せない人と英語しか話せない人が会っても意思疎通できないのと同じで、機器同士も「共通のルール」に従ってやり取りする必要があります。このルールのことを通信プロトコルと呼びます。
ネットワークの階層構造——OSI基本参照モデルとTCP/IP階層モデル
通信プロトコルを整理して理解するために、「階層」という考え方が使われます。代表的なものがOSI基本参照モデルです。これは通信の役割を7つの階層に分けたモデルで、下から順に、物理層(電気信号や光信号としてデータを流す層)、データリンク層(隣り合う機器同士の直接のやり取りを管理する層)、ネットワーク層(離れた機器までデータを届けるための道順を決める層)、トランスポート層(データを正しく確実に届ける層)、セション層(通信の開始から終了までの手順を管理する層)、プレゼンテーション層(データの形式や暗号化・圧縮を扱う層)、アプリケーション層(利用者が実際に使うソフトウェアに近い層)という構成になっています。
これは、手紙を送る作業を7つの係に分担しているようなものだとイメージするとわかりやすいです。「便箋に文章を書く係」「封筒に入れて宛名を書く係」「郵便局まで運ぶ係」というように役割を分けることで、それぞれの係が自分の仕事に集中でき、どこかの係のやり方が変わっても他の係には影響が出にくくなります。
もうひとつよく使われるのがTCP/IP階層モデルです。こちらは実際のインターネットで使われている実践的なモデルで、4つの層(ネットワークインタフェース層、インターネット層、トランスポート層、アプリケーション層)から成り立っています。OSIの7階層をよりシンプルにまとめたものと考えるとよいでしょう。たとえばOSIのアプリケーション層・プレゼンテーション層・セション層は、TCP/IPではまとめて「アプリケーション層」として扱われます。
身近な通信プロトコルたち
実際にインターネットで使われている代表的なプロトコルを見ていきましょう。
データの送り方の土台となるのがTCP/IPです。これはインターネット全体を支える通信規約群の総称で、正確で確実な通信を行うTCPと、より高速だが多少の欠落は気にしないUDPという2つの主要な方式を含みます。たとえば重要な書類のやり取りにはTCP(届いたことを確認しながら送る)が向いており、動画のライブ配信のように「多少のコマ落ちより速さが大事」な場面ではUDPが向いています。
Webページを見るときに使われるのがHTTPです。私たちが普段「このサイトを見せて」とブラウザから要求し、サーバがページのデータを返す、というやり取りの約束事がHTTPです。このHTTPの通信内容を暗号化して盗み見や改ざんを防いだものがHTTP over TLS(HTTPS)で、ブラウザのアドレス欄に鍵マークが表示されているサイトはこのHTTPSで通信しています。
メールに関するプロトコルも複数あります。メールを送信するときに使われるのがSMTP、メールを受信して自分の端末に保存する方式がPOP、メールをサーバ側で管理したまま複数の端末から見られるようにする方式がIMAPです。スマホとパソコンの両方で同じメールを見たいなら、端末に保存してしまうPOPより、サーバで一括管理するIMAPが便利です。
ファイルをやり取りする際の約束事がFTP、コンピュータ同士の時刻を正確にそろえるためのNTP(Network Time Protocol)、ネットワークにつないだ機器へ自動的にIPアドレスを割り当てるDHCPもよく使われます。DHCPのおかげで、私たちはカフェのWi-Fiにつなぐときにいちいち自分でIPアドレスを設定しなくても、自動的にネットに接続できるのです。
そして、1台のコンピュータの中で複数のアプリが同時に通信できるのは、それぞれのアプリに割り当てられたポート番号という「窓口番号」のおかげです。たとえばWebブラウザの通信は80番(HTTP)や443番(HTTPS)、メールの送信は25番(SMTP)というように、あらかじめ決まった番号が使われることが多く、これによってコンピュータは「届いたデータをどのアプリに渡せばよいか」を判断できます。
IoTシステムで使われる通信プロトコルには、通常のプロトコルとは違う特性が求められます。IoT機器は電池で動くことが多いため、通信に使う電力をできるだけ少なくし、データ量も軽くする設計が重視されるのです。パソコン向けのプロトコルをそのままIoT機器に使うと、電池がすぐに切れてしまったり、非力なマイコンでは処理しきれなかったりすることがあるため、IoT向けには軽量なプロトコルが別途用意されている場合が多くあります。
通信の流れをまとめて見てみると
ここまで紹介したプロトコルが実際にどう組み合わさって動いているのか、Webサイトを見るときの流れで確認してみましょう。まずブラウザにURLを入力すると、DNSという仕組みでドメイン名がIPアドレスに変換されます(この仕組み自体は次の章で詳しく扱います)。次に、そのIPアドレス宛てにTCPで接続を確立し、HTTP(またはHTTPS)というプロトコルに従って「このページをください」という要求が送られます。サーバはその要求を受け取り、HTTPの約束事に従ってページのデータを送り返します。このとき、パソコンの中では複数のアプリ(ブラウザ、メールソフトなど)が同時に通信していますが、それぞれの通信がポート番号によって仕分けられているため、混線することなく届くべきアプリにデータが届きます。このように、階層モデルの各層・各プロトコルが役割分担しながら連携することで、私たちは意識せずに快適にインターネットを使えているのです。

3. ネットワーク応用
ここまで見てきたネットワークの仕組みやプロトコルは、実際に私たちが使う「インターネット」というサービスの土台になっています。この章では、インターネットの基本的な仕組みと、そこで使われる身近なサービスについて見ていきます。
インターネットの仕組み——住所と道案内
インターネットにつながっている無数のコンピュータは、それぞれIPアドレスという固有の番号で管理されています。これは、日本中の家に「住所」がついているのと同じで、住所がなければ手紙が届かないように、IPアドレスがなければデータをどこに届ければよいかわかりません。
IPアドレスにはIPv4(従来から使われている表記方式)と、IPv6(IPv4よりも桁数が多く、より多くの機器に番号を割り当てられる新しい方式)があります。世界中でインターネットにつながる機器が爆発的に増えたため、IPv4だけでは番号が足りなくなりつつあり、IPv6への移行が進められています。また、IPアドレスには、インターネット上で世界に一つだけ存在するグローバルIPアドレスと、家庭や社内など限られた範囲の中だけで使われるプライベートIPアドレスの区別もあります。
しかし、私たちが普段Webサイトを見るときに「192.0.2.1」のような数字の並びを入力することはほとんどありません。代わりに使うのが「example.co.jp」のようなドメイン名です。この人間にとって覚えやすいドメイン名と、コンピュータが実際に使うIPアドレスを変換してくれる仕組みがDNSです。DNSは、いわば「名前から住所を調べてくれる電話帳」のような存在で、私たちがドメイン名を入力すると、裏側でDNSが対応するIPアドレスを調べて教えてくれています。ある特定のページの場所を示す文字列であるURLも、このドメイン名の仕組みの上に成り立っています。
(参考:NATやサブネットマスクといった用語も家庭用ルーターの設定などでよく耳にしますが、本項目の公式シラバス用語例には直接の記載がありませんでした。実務やほかの資格では重要な用語のため、発展的な補足として扱います。)
インターネットサービス
インターネットの仕組みの上に成り立っているのが、私たちが日常的に使う様々なサービスです。
メールに関するサービスとしては、同じ内容のメールを複数の相手へ一括して送る同報メール、あらかじめ登録した複数の宛先へまとめて送信できるメーリングリスト、届いたメールが保管される場所であるメールボックスがあります。メールの宛先指定には、他の受信者にもメールアドレスが見えるcc(カーボンコピー)と、他の受信者には見えないように隠して送るbcc(ブラインドカーボンコピー)の使い分けがあります。取引先とのやり取りでは相手にccの人が見えても問題ない場合はcc、逆に個人情報保護の観点で他の受信者にアドレスを知られたくない一斉送信ではbccを使う、というように場面に応じて選びます。
Webサイトを訪れたときに、そのサイトがブラウザに保存する閲覧情報のことをcookie(クッキー)と呼びます。一度ログインしたサイトに次回訪れたときにログイン状態が保持されているのは、このcookieのおかげであることが多いです。メールで画像などのファイルを添付できるようにする規格をMIME、Webサイトの更新情報を配信する仕組みをRSSと呼びます。また、インターネット上にファイルを保存しておき、複数の端末からアクセスできるようにするサービスをオンラインストレージと呼びます。
通信サービス
こうしたインターネットサービスを実際に利用するためには、通信そのものを提供する事業者の存在が欠かせません。回線を提供する事業者を回線事業者と呼び、その中でも自社では回線設備を持たず、他社の回線を借りてサービスを提供する事業者をMVNO(仮想移動体通信事業者)、インターネットへの接続サービスを提供する事業者をISP(インターネット接続サービス事業者)と呼びます。格安スマホの多くはMVNOによるサービスです。
データを送る際には、情報をそのまま送るのではなく、小さなかたまりに分割して送るパケット通信という方式が使われます。荷物を1つの大きな箱で送るのではなく、いくつかの小さな箱に分けて送るイメージで、こうすることで回線を効率よく共有できます。
スマートフォンなどのモバイル通信では、街のあちこちに設置された基地局や、Wi-Fiの接続点であるAP(アクセスポイント)を経由して通信が行われます。特につながりやすい特性を持つ周波数帯のことをプラチナバンドと呼び、電波が建物や地下でも届きやすいという特徴があります。
移動しながら通話や通信をしていても切れないのは、ハンドオーバー(移動に合わせて接続する基地局を自動的に切り替える仕組み)のおかげです。また、契約している会社のサービスエリア外でも、他社のネットワークを借りて通信できるようにする仕組みをローミングと呼びます。複数のアンテナを使ってデータを同時にやり取りし、通信を高速化する技術をMIMOと言います。
音声をデータとして送受信する電話サービスをIP電話(VoIP)と呼び、光ファイバーを使った高速通信を光通信と呼びます。複数の周波数帯をまとめて使うことでさらに通信を高速化する技術がキャリアアグリゲーションです。
そのほか、スマホの通信回線をパソコンなど他の機器と共有するテザリング、契約者情報を記録したSIMカード、物理的なカードを使わずに契約情報を書き込めるeSIM、契約する会社を変えても同じ電話番号を使い続けられるMNP(携帯電話番号ポータビリティ)があります。自動車などに通信機能を組み込み、走行データなどをやり取りする技術をテレマティクスと呼びます。
これらの通信サービスを利用する際は、使った分だけ料金がかかる従量制と、あらかじめ決まった金額で使い放題になる定額制という2つの課金方式があり、自分の使い方に応じてどちらが得かを考える必要があります。たとえば動画をたくさん見る人は定額制の方が安心ですし、たまにしか使わない人は従量制の方が安く済む場合があります。
(参考:ユビキタスネットワークという「いつでもどこでもつながる社会」を表す言葉も広く使われますが、公式シラバスの用語例には直接の記載がないため、発展的な補足コラムとして扱います。)

本番での解き方
- ✓プロトコル問題は「何をするための決まりごとか」の一言定義で選ぶ。似た選択肢は役割で消去
- ✓LANとWANは「狭い範囲を自分で作る(LAN)」「広い範囲を通信事業者が作る(WAN)」で区別する
- ✓「暗号化されているか」が問われたらHTTPS・VPNを思い出す
- ✓DNSは「ドメイン名→IPアドレス」の変換、DHCPは「IPアドレスの自動割り当て」。似た略語だが役割が違う点に注意